アイドルコネクトADV「メモリア」第1章感想 ~「憧れ」の行く先~
一応このブログの目的であった、好きな物の布教をだらだらやっていこうかと。
手始めに「アイドルコネクト -AsteriskLive- ADVEdition Vol.01」のチームシナリオ、「メモリア」の第1章の感想・考察を書いていきます。(今更感がスゴい)
「アイドルコネクトって何?」って人は先に下の記事を読んでくださいね。
マイナーゲームのシナリオ考察なんてほぼ自己満足だよなぁとは思ったんですが、
実際考えさせられるところは色々あったのでそれを書きつつ、整理していこうと思います。
ネタバレ全開なので悪しからず。
始めに
アイコネのストーリーを読む上で、ぜひとも注目したい、意識してもらいたいこと。それは、アイドル達がどのように精神的な成長を遂げるのか、ということです。
前記事でも書いたように、彼女たちはアイドルについてほとんど何も知らない状態、ゼロからのスタートとなります。
そんな彼女たちだからこそ、「成長」の形は様々。
アイドル活動を通して、仲間との出会いを通して、彼女たちは何を得ていくのか。
その「過程」にぜひ注目してもらいたいです。
春宮空子の出会い
人通りの少ない路地で、一人思いを巡らす空子ちゃん*1。
空子「いつも空にきらきらしてる。どんな人たちなんでしょう。
歌や踊りや笑顔で、みんなに、幸せを届ける……。私にもできたらいいな」
路地…路地?
地の文がそう言ってたから路地なんだろう、うん。
広告や掲示板が空中ディスプレイになっていることから、今より少し発達した時代のよう。
その言葉から分かるように、彼女がアイドルに対して抱いているのは「憧れ」の気持ちで間違いないでしょう。
あくまでまだ夢や目標という類のものではなく、「なれるならなりたい」という控えめな願望のようなものですね。
アイドルのようにステップを踏んだりポーズを取っているところを、偶然プロデューサー(以下Pさん)に見られてしまいます。
なんでもPさんは事務所を立ち上げたものの、そもそもプロデュースする子を見つけるのに難儀していたそうで。
Pさん「──あ、アイドルになってみませんか?」
いきなり何を言うんだろう。自分でも、頭がおかしいのかと思った。
「これ、名刺です」
直感や衝動っていう言葉で片付けてしまうには、あまりにも大胆なセリフだった。
この機会を逃す手はないといきなり声をかけるPさん。
今だったら変な勧誘だと怪しまれて色々終わりそうなところですが…
翌日、メールが。
空子「私、アイドルになりたいです。すごく、なりたいです!」
向こうも、おかしいのは同じだったみたいだ。
あっさり了承。まあそうしてくれないと話進まないからね。しょうがないね。
そんなこんなで、さっそくこれから組むことになるユニットのメンバーと顔合わせをすることに。
いかにもクール系な雰囲気のお姉さん登場。名前は
その風貌からアイドル経験者かと思いきや、全くの初心者なんだとか。
Pさん「このチームも含めて、事務所のアイドル9人全員が、プロ活動は未経験なんだ。(中略) 事務所自体も発足したばかりでね。前途多難かもしれない」
だから事務所の新築感がこんなにあふれてるのかな…? すごい快適そう。
天井にあるのは照明でしょうか。さすがにガラス張りってことはないだろうしな(細かい)
そして最後の一人が、ソファに寝転がっていた羽田
千乃「えへ、このソファーめっちゃふかふかだよ?」
唯「ソファーとか、ふかふか、じゃなくて。挨拶しないと」
千乃「え?」
千乃はじーっと空子を見つめた。
千乃(にこ)
唯「にこ、でもなくて…」
非常にマイペースな千乃ちゃん。
なかなか個性が強めなメンバーですが、この三人で「メモリア」として活動をしていくことになります。
アイドルへの一歩
千乃「んん、そうだね。曲とか出せるかな? ライブとかできるかな?」
空子「きっと頑張っていれば、いつかできます!」
千乃「そっか。じゃあ、千乃も少しはがんばっちゃうね? 今は絵を描くよりずっと楽しいかも」
アイドルという初めての体験に胸を弾ませる2人。
それに対し、唯ちゃんはというと…
対照的に不安げな様子。初めてのアイドル活動に加え、事務所自体ができたばかりという事実も彼女にとっては懸念事項なんでしょう。
Pさん「もちろん、楽しいことばかりではないかもしれないけどね…。でも、僕も精一杯やってみるし、楽しめるのが一番だと思うよ」
Pさんもその事実を認めつつ、なるべく不安は抱かせまいとフォロー。一番プレッシャーを感じているのは彼自身のはずなんですけどね····
そして3人は本格的にアイドルとしてダンスレッスンやボイストレーニングといった練習をこなしていきます。
なんと専属の先生までついてます。(しかもフルボイス)
実際これくらいのアイドル事務所って立ち上げるのにどれくらいお金かかるんだろう…
衣装サンプルの試着もすませ、一段落していると
別ユニットから
一見無表情な彼女、歌うときはめっちゃくちゃイケボなんですよこれが。
普段は物静かな子が歌う瞬間に覚醒するのってなんかいいですよね。
ちなみに普段はこんな感じ。
アイドルコネクトAsteriskLive 声優メッセージ:古風 楓役 CV大森 日雅さん
イケボな方は公式のだと良いやつがなかった…残念。まあそれだけ貴重だってことです(?)
窓の外に見える定期フェスの巨大立体広告を眺めながら、改めて自分たちがしていることの大きさを実感する空子ちゃんと唯ちゃん。
唯「……私たち、すごいことしてるんだね」
空子「そ、そうですね。実感する機会はほとんどないんですけど、やっぱり改めてああいうのを見ると、感動しちゃいます」
すると、唯ちゃんが不意にこんなことを。
空子「え、もうアイドル……じゃないんですか?」
さっきの発言もそうなんですが、唯ちゃんは他の2人に比べて「アイドル」をかなり自分には遠い存在だと感じている傾向が強そうです。
空子ちゃんの返答からも2人の意識の違いが読み取れます。
唯「そう、なんだけれど、まだアイドルらしいことは何もしてないし、それに……空子みたいに明るいわけでもないし、千乃みたいに変わった性格をしてるわけでもないし。普通で」
自分がアイドルとして「普通」なことを気にしている唯ちゃん。
空子「私だって普通ですよ。唯ちゃんはすらっとしてて格好よく見えるし、千乃ちゃんも面白いなぁって思います。
――でも、だから、もっと頑張りたいって、もっと楽しみたいって、そう思うんです」
普通だからこそ、もっともっと頑張りたい。
仲間への尊敬や謙虚さをも力に変える、彼女の前向きな性格が前面に現れてる台詞ですね。
唯は、空子のポジティブな発言を聞いて、少しだけほほえんでいるように見えた。
さらに、彼女の気持ちの支えとなっている物がもう一つ。
空子「昔、必死に四つ葉をさがして、お守りを作ったことがあるんです。これを持っていればいつも幸せになれるような気がしていて。いつかライブなんかをやるときがきても、きっとこれがあれば、何とか乗り越えられるって」
この四つ葉のお守りも意外と後で重要な役割を果たすことに。
訪れる「始まり」
練習後、初のリハーサル。
この世界の…というかこの事務所のアイドルは、自分自身の体に立体映像を投影することで衣装を身につけます。いわゆる拡張現実ってやつですね。
とめどなく動くアイドルに投影するわけだから、精度は今の何倍も高いはず。
そう考えると広告や掲示板に拡張現実を採用するのは、技術的な面からすると造作もないことなんでしょう…
初めて衣装を「着た」3人。やっぱり唯ちゃんは唯ちゃんですね。
なにか一波乱あるかと思いきや、リハーサルは平和に終了。
その後の休憩中、突然事務所の電話が鳴り出します。
なんとそれは、月末の定期フェスへの参加申請が通ったことを告げる知らせでした。
明示されてはいませんが、練習後に窓から見ていた広告のものでほぼ間違いないでしょう。
空子「またまた、冗談ですね? えへ、だって、私たちはまだできたばかりのグループです。フェスへの参加ってすごく難しいって聞いたことがあります」
Pさん「悪いけど、冗談なんかじゃないんだ。もちろん、申請が通ったっていうだけで、参加は自由。空子たちが自由に決めてもいい」
空子「……ふぁ」
あまりに突然すぎる知らせに戸惑いを隠せない空子ちゃん。
千乃「すっごーいプロデューサー! いつの間にそんなことを? かっこいい!」
怖いもの知らずの千乃ちゃんは全く動じる様子がないですね。
唯「え え? ……え?」
唯ちゃんは「え?」を連発。かわいい。
千乃「何で二人とも固まってるの? えっへへ、やろ? だって、ステージで歌いたくてアイドルになったんだもん」
ライブ参加に積極的な千乃ちゃん。この「ステージで歌いたいから」という何気ない発言は、後に語られる彼女自身の「『アイドル』をする理由」に深く関わってきます。
さすがにその場でフェスに出場するかは決まりませんでしたが…
空子「やってみたいです!」
今日の夜は、そんなメールが送られてきた。
こうして、3人の「アイドル」としての物語は最初の山場を迎えます。
私が「アイドル」になる理由
月末のライブに向けて、何度も練習やリハーサルを重ねる3人。
そんな彼女たちに、Pさんは現時点で見込まれているライブの観客数を告げます。
Pさん「これを見てくれるかな。チケット予約は、一般のお客さんが、とりあえず十人」
僕がタブレットの画面を見せると、三人とも画面をのぞき込んでいた。
10人。アイドルのライブとしては少ないように感じられるし、立ち上がったばかりの事務所の初ライブとしては及第点なのかもしれない。
問題はこの数字が彼女たちにどう映るのか、ということです。
千乃「んー? あっれー? ほんっとに少ないなぁ……。もうちょっと入っててもいいのにね」
唯「仕方ないよ。プロデューサーがどういう手回しをしたか知らないけど、本当は参加するのも早いくらいだし……」
納得のいかない千乃ちゃんと、半ば諦め気味の唯ちゃん。
しかし、この空気を変えたのは、やはり彼女。春宮空子でした。
「もう、十人もチケットを買ってくれているんですね」
空子は、ぱぁっと、笑顔になってみせた。
「届けられたらいいです。本当に。嬉しくて、泣いちゃいそうです」
「もっと、もっと上手くやりたいです。練習してきます!」
彼女にとっては、「たったの10人」じゃなかった。
むしろ、その来てくれる10人にこそ精一杯自分の歌を届けたい。
何人であっても、その意志が変わることは絶対にないでしょう。
それほど彼女の「人を想う」気持ちは強いものなんだと思います。
そして、その桁外れな前向きさは、本人の知らぬ間に周囲にも影響を与えていくほどのものでした。
千乃「……ふぅん?」
千乃も、まるで不思議な生き物でも見るみたいに、空子の横顔をまじまじと見つめていた。
別の日、空子ちゃんの家の近くにあるという商店街に寄ったPさん。
彼女が泣いている子供を歌であやしているところを偶然見かけ、声をかけます。
Pさん「泣き止んでくれて良かった。今の、デビュー曲だね」
空子「そうですね。最近はいつも練習しています」
泣き止んだ子供を帰した後、彼女はアイドルに対する自分の思いを打ち明けます。
空子「もし、私なんかが人を笑顔にできたら、単純に嬉しくなります。そういうことができたらいいな、って。ヘン、かもしれませんが」
空子「ましてや、その気持ちを、歌に乗せて届けられるなら、もっとたまらなくなります。こんな性格だから、アイドルを……やってみようと思ったんだと思います」
彼女が「アイドル」になった理由は、歌で人を笑顔にしたいから。
人を想う気持ちが特別に強い彼女だからこその理由ですね。
普通なことを気にしている唯ちゃんをフォローしたのも、その気持ちがあってのことでだと思います。
しかし、ここである問題が。
空子「は、はれ?」
Pさん「ど、どうしたのかな」
空子「お守りが……な、ないんです」
なんと四つ葉のお守りを無くしてしまいます。
「――いつかライブなんかをやるときがきても、きっとこれがあれば、何とか乗り越えられるって」
この言葉の通り、彼女にとってはこのお守りこそが心の支えであり、頑張ろうと思える「力」でした。
その支えを失ってしまった彼女は一体どうなってしまうのか?
(あっこれネタ入れる雰囲気じゃないな)
私たちが「メモリア」
ついにライブ当日。結局四つ葉のお守りは見つからないままでした。
ライブは事務所の一室で行われます。
もちろん空子ちゃんはお守りをなくしたことを他の2人には告げていません。
推測ですが、2人に心配をかけるわけにはいかないという彼女なりの気遣いなんだと思います。
「人を想う」ことが必ずしも良いわけではないんですよね。逆に自分自身の負担になってしまうこともある。
千乃「千乃は緊張したことないなぁ。あんだけ大変だったんだもん、絶対失敗しないよ?」
唯「……が、がんばります」
自信満々の千乃ちゃん。彼女が言うと本当にそう思えるから怖いですね…
幕が上がる数分前。互いに声を掛け合う3人。
唯「……あ」
空子「大丈夫です。勇気を、分けます」
唯「……うん」
たとえライブ前でも空子ちゃんの意志(人を想う気持ち)は変わりません。
「勇気を、分けます」――唯ちゃんにとって、この言葉がどんなに心強いことか。
空子「ねえ、そういえば、今まで聞いていませんでした。みんなはどうしてアイドルになったんでしょう」
空子ちゃんの発言をきっかけに、いよいよ2人の「アイドルになる理由」が明かされます。
千乃「んっ、えっと千乃はね? なんだっけ? そうだ、スカウトされたんだ。千乃は前からね、華道とか、バイオリンとか、やっててね? それでアイドルも、楽しそうだなって思って」
千乃ちゃんがアイドルになった理由は、ただ楽しそうだったから。
唯「……私は、かわいいものが、好き、で。その、衣装とかを着て、かわいい、って言われたら、きっと楽しいだろうっ……て」
唯ちゃんは、かわいいと言われたら楽しそうだったから。
2人とも、非常に単純な理由。でも、彼女たちにとって動機はそれで十分だったんです。
空子「……私は、本当に自分なりの理由とかなくて。ただ雑誌を読んだんです。――アイドルは、他人に笑顔を届ける仕事だって。その日は、そんなステキなお仕事があるんだって、笑顔になっちゃって。これは、なんとしてもやってみたいって」
商店街で打ち明けたものと重なりますが、空子ちゃんは歌で人を笑顔にしたいから。
この3つの理由に共通するのは、やってみたいという「好奇心」と楽しそうという「期待」だと思っています。
なにも大きな夢や目標があったわけじゃない。ただ面白そうで、やってみたくて「アイドル」になった。少なくとも、今はそれでいい。
空子「……お守りなんか、なくても」
空子の表情に、影がさした。
千乃「――その顔じゃないよ、空子さん」
何を察したのか、空子ちゃんに声をかける千乃ちゃん。実は千乃ちゃんから声をかけるのは、これが初。
ライブはもう始まろうとしていますが、空子ちゃんの歌い方で気になっていたところを指導し出します。
千乃「ここは、こう。大丈夫そうかな?」
空子「あ、あの……」
それでも、空子は、何かに感動したみたいに呆然としていた。
空子「あ、ありがとうございます!」
ここでの空子ちゃんは、おそらく歌を指導してくれたという事実に感動しているのかと。
千乃「なんで、千乃にお礼を言うの? チームなのに」
空子「……あ」
千乃「それに、千乃も、空子さんにもらったよ」
空子「……何をですか?」
千乃「何だろう。なんか、もらった。でも、がんばろーって思った」
仲間の存在に気付かされた空子ちゃん。千乃ちゃんが意識してそうしたかは分かりませんが、「1人で抱え込む必要はないんだ」という気持ちが彼女に芽生えたのは確かです。
空子「……そうですね。お守りよりも、ずっと心強い」
もう緊張はしていない。期待、好奇心、そして心強いチームメイト。
あるのはそれだけ。
唯「うん」
千乃「オッケー、いっぱい歌っちゃおう」
3人「せーのっ」
何よりも心強いもの
初ライブを終えたメモリア。少しだけれど、客席が湧いてくれました。
空子「プロデューサー、あの! あの…… ――すごいです。生まれて初めて、こんなにおっきな声を出せました。こんなに、思いっきり踊れました。歌ってる最中、ああ、そっか。私はすごく楽しんでるんだなって。私をここに連れてきてくれて、ありがとうございます!」
興奮を抑え切れない空子ちゃん。ただライブが楽しかっただけじゃない。
自分がこんなに歌い、踊れることを知った。
今まで知らなかった自分の「可能性」に気づけたことこそが、彼女にとって一番感動した事実なんだと思います。まさに「成長」ですね。
後日。プロデューサーに挨拶をして、いつも通り事務所に入ろうとした空子ちゃんは部屋のドアと床の間に何かが挟まっているのを見つけます。
空子「あぇぇっ!? ちょ、ちょっと待ってください。これ、これは」
なんとそれは、前に無くした四つ葉のお守りでした。
Pさん「よかったじゃないか!」
空子「……そうですね。でも、もう」
しかし、彼女はお守りを窓の外に持っていき、手を離します。
空子「もう、お守りがなくても平気です。私には、2人も一緒に歌ってくれる人がいますから」
チームとして成長した空子ちゃんは、もうお守りがなくたって歌うことができる。どんな壁も乗り越えられる。何も知らなかった最初に比べたら、彼女が初ライブを経て得たものはとても大きいと思います。
手にはすでに、三つの、三つ葉のお守りが握られていた。
感想・考察まとめ
なんかもうエモすぎる。感想が「エモい」という言葉しか出てこないの本当に情けないんですが、とにかくエモい。うん。
ゲームシナリオでここまで感動するというか、満足させられたのはこれが初めてでした。初見のときは何となく「あ、これ面白いな」としか思わなかったんですが、こんなに奥が深いものだったとは。
上手く言えないんですが、アイコネのストーリーはどこかぼかされているところがありつつも「成長」というテーマ(自分で考えたものだけど)はしっかり描かれていると思うんですよ。
一つ一つの中に様々な登場人物の思いや感情、背景があるのに最後は綺麗にまとめてくれてます。ちゃんと伏線が張られてるのも個人的にポイント高めです。
正直これを続けるかどうか書き始めた時は迷ってたんですが、今はもう続ける気満々です。次はあのGARNET PARTYですからね…!
そういうわけで(?)、以下に考察のようなものを書いていきます。
・羽田千乃に起こった変化
物語の中での千乃ちゃんの発言。
「そっか。じゃあ、千乃も少しはがんばっちゃうね? いまは絵を描くよりずっと楽しいかも」
「千乃は前からね、華道とか、バイオリンとか、やっててね? それでアイドルも、楽しそうだなって思って」
この言葉の通り、千乃ちゃんにとって「アイドル」はあくまで沢山ある興味対象(絵、バイオリン、華道)のうちの一つに過ぎないんですね。
空子ちゃんほど、アイドルに特別な思いを持っているわけではないんです。
そんな彼女が春宮空子というポジティブお化けに感化されている様子が話中に見られます。
「……ふぅん?」
千乃も、まるで不思議な生き物でも見るみたいに、空子の横顔をまじまじと見つめていた。
千乃「それに、千乃も、空子さんにもらったよ」
空子「……何をですか?」
千乃「何だろう。なんか、もらった。でも、がんばろーって思った」
千乃ちゃんが春宮空子にもらったものは、「アイドルに対する情熱」だと僕は思っています。「もらう」というよりかは「影響を受ける」の方がより厳密ですかね。
とにかく、空子ちゃんのアイドルに対する特別な想いは千乃ちゃんは持ち合わせていないものです。
(彼女のアイドルになった理由も「ただ楽しそうだったから」でした)
そう考えると、千乃ちゃんがライブ前に歌を教えたのも多少「春宮空子」という存在に興味を持ったから、と考えられます。
これを千乃ちゃんの「成長」と捉えるかは微妙なところなんですが、アイドルへの気持ちの比重のようなものは大きくなったんじゃないかと思います。
・新しい三つのお守りが意味するもの
これはまあぼやっと分かるかなーって感じですが、一応書いておこうかと。
春宮空子にとって、四つ葉のお守りは気持ちの支えとなってきた大切なものでした。彼女はそのお守りを無くしてしまいますが、結果的に仲間の大切さに気づきます。
そして最後には四つ葉のお守りを手放し、新たに三つの三つ葉のお守りを作りました。
この三つ葉のお守り、個人的には四つ葉のそれほどに強い思いが込められているとはあまり思わないんですよね。
なぜなら、「お守りよりも、ずっと心強い」という彼女の言葉にあるように、既に見えない「絆」のようなものの大切さに気づいたからです。
ですからこのお守りはどちらかといえばその絆の象徴的な役割を持つものだと思っています。
うーん、自分はどうしてもこの辺を否定的に考えてしまうので誰か良い説思いついたら教えてください…
[↓ 2019/06/10 追記]
・春宮空子のメール
この話の中で空子がPさんに送った2つのメール。1つは彼女がアイドルを始めると決めた時、もう1つは月末フェスに出場すると決めた時のものでした。
ここでは、特に2つ目のメールについて考察していきます。
意図的かどうかはさておき、このメールを送る、言うなれば空子が決断を下すシーンは変に感情描写が抜けているなと感じました。
このシーンで描かれているのは、初めてアイドルとしてライブに臨むか否かを決断する、言わば彼女の「能動的な行動」。
それまでこなしてきたダンスやボイトレなどの練習は、「初めてアイドル活動をするから」というPさんの意向があって成立する、彼女にとっての「受動的な行動」なんです。
そこに彼女自身の意思は存在しない、というより存在し得ない。
つまりこの時になって初めて、アイドルとなった空子は「能動的な行動」を迫られているんです。
そして、彼女の決断は「やってみたいです!」というシンプルな言葉で表明されました。
客観的に見れば「あぁそうなのね」と流してしまいそうなシーンですが、「春宮空子」の視点で考えるとかなり捉え方が変わってくると思います。
この決断に関わってくるのは、彼女が持つ余りに大きな「人を想う気持ち」です。
そもそもメモリアはアイドルになったばかり。そんな彼女たちが、出場することすら難しいとされるフェスに出たとして、観客を満足させることができるのか?
大会形式のイベントでは無いにしても、それを見物に来る観客は出場者に対してそれなりの「期待」を抱いているはず。
「アイドル」の世界に踏み入ったばかりの自分に、そんな人たちを満足させることができるのか?
きちんと歌を届けられるのか?
笑顔にさせることができるのか?
「人を想う」気持ちが強い彼女だからこそ、彼女自身が感じるプレッシャーはそれほどに重く重くのしかかる。
そこには当然不安や迷いが生じ、「決断」にはより時間を要してしまう…。
もちろんこれは全くの自己解釈ですが、1つの説としてこんな感情の動きが裏にあっても良さそうじゃないでしょうか?笑
(こうなると出場すると決断した理由も考えるべきなのか…)
まとめ
予想以上に長くなってしまいました。前の記事と同じくらいかそれ以下の分量になるかと思いきや余裕で文字数こえました。
今後は飽きるまでこれメインでやりつつライブレポなども書いていく予定です。
駄文ですが、ここまで読んでくださりありがとうございました!