始まりを知りたい

始まりを知りたい

それは、セカイを変えるスタートライン。

自分だけの"青"、自分だけの色。~鬼頭明里 1st LIVE TOUR 「Colorful Closet」東京公演感想~

f:id:Luna_gp:20200927155518j:plain

2020年9月22日、鬼頭明里さんが初のライブツアーを開催するということでチケットを運良く(めちゃめちゃ運良く)入手して東京公演へと行ってきました。

 

まずひとつに、オンラインよりも現場が圧倒的に盛り上がるのは紛れもなくそうだなって改めて感じました。ただただ純粋に現地で開催してくれるありがたみを感じた。

 

円盤が出なさそうなライブ*1は記憶をそのまま移し替えて残しておく用のブログにしたいっていうのは前々から思っていたので、そういう意味で今回は「感想」ではなく「覚え書き」です。

「覚書」って「かくしょ」って読まないの…?

 

[2020.11.08追記]

タイトルを"覚え書き"から"感想"に改めました。

 

 

 

1. 開場~開演まで

17:30の開場から19:00の開演までを座席列ごとに分けての入場でした。

午前中にお台場を歩きすぎてすでに足がバッキバキだったので、さすがに休もうと思って15:00くらいには現場の「なかのZERO」に到着。人いなくない…??

 

曲聴いたりTwitterのオフショを流し見しながら開場を待つ。

 

f:id:Luna_gp:20200927160818j:plain

会場の大ホールに繋がる階段手前にある説明書き。


普段であれば飾ってあるフラスタを見てたりしたんだろうけど、もちろんそういうのは無いので少し寂しいですね。

開場30分前になるとマスクとフェイスシールドを付けたスタッフさん達が階段から降りてきて、あんな感じなんだぁ(雑)と思いながら見てました。こんな状況であっても日常的にフェイスシールド付ける機会が無かったので。

 

 

そして、1階席の後ろの方だったので17:45頃に入場。

会場の1F席は全23列だったんですが、前から16列目でも全然見やすかった!

 

なかのZERO初めて入ったんですけど、アリーナみたいに床が平行じゃなくステージから離れるに連れて高くなっていく風だったから視界が開けてて本当に良かったです。

 

f:id:Luna_gp:20200927162656p:plain

公式HPから抜粋。これだけでもどれだけ見晴らしが良いかわかる。


入場時のこと書き忘れてた。

やっぱりこんな状況なので、COCOAをちゃんとインストールしているか(BluetoothもONになっているか)の確認、体温測定、あとはマットの上で足踏みをする靴裏消毒がホールに入る手前で行われてました。特に確認作業は1人1人丁寧で、大規模のライブ開催が当たり前じゃなくなった現在で感染症対策にはかなり気を配ってると感じました。*2

 

 

配られたショッパー。

f:id:Luna_gp:20201004142735j:plain

 中には

・フェイスシールドの組立キット

・オリジナルマスク

・オリジナルフラッグ

・ブロマイド

が入っていて、早速高まる…。

ちなみに入っていたブロマイドが後々爆弾になることをこの時はまだ知らない。

 

開演前から会場内に響くBGM、前後左右から聞こえてくる色めきだった話し声、ステージに身を静かに置いた生バンドの楽器たち…完全にメンタルが人生で初めてライブに来たときのそれ。このそわそわした状況が開演まで1時間続いた。

 

2. 開演

そして19時に開演!

今回限りの生バンドであるONiGASH!MAのメンバーがチューニングに登場します。ちなみにこのバンド名は元々鬼頭さんのラジオで「バンドの名前を決めよう、『鬼ヶ島』とかどうですか」みたいな話が出てきたのが始まりで、後のinstagramで行われた投票でこのONiGASH!MAに決定しました。"!"がセンスある。

 

spice.eplus.jp

 

この記事の写真を見てもらえれば分かると思うんですが、ステージ上にあるセットはライブのタイトル通りクローゼットを模したもので。

生バンドのメンバーが静かに登場し楽器のチューニングを終えると、背景のスクリーン、そしてクローゼットの壁に映像が映し出される。

数分間の音楽とカラフルなスポットライトにボルテージが上がった所で鬼頭さんが登場!

そう、まさにそのクローゼットから出てきたんですね。さっそく『Swinging Heart』を披露しました。

 

 

 

(ここからは見出しを曲名にしますが、内容は前後のMC・衣装など予備情報も含めて書きます。)(曲名の色=ペンライトの色)

 

 

01. Swinging Heart

クローゼットから出てきた鬼頭さんの衣装はがメイン。この衣装が自分の大好きなコルセット風スカート(胴の辺りがメインの布地とは違う生地で締められていて、そこからスカートが広がっている)デザインだったから早速目を奪われた…。*3

着てるだけで大人っぽさと高貴さを感じられるのが良いところ。

 

全く曲に関係ないことを言うと、ライブが始まる前は「いつも画面の向こうにいる人が歌ってるとこを目の前で見れるの??やばいやばい」みたいなことを決まって考えているのに実際始まるとそんなことを噛みしめる余裕がなさすぎる。曲聴きたいしね。ただただ本人見てたいしね。

 

それでいていざライブが終わったら「さっきまで同じ空間にいたんだよな~」って考えてアツくなるから、『本当にステージにいた』って実感するのがいつも終演後になってしまって悲しい。(ホントに悲しいのか?)

 

そしてここまで読むと分かるように、この『Swinging Heart』に関してはホントに記憶がないです。思い出したくてもまるで抜けてしまったので割愛……

 

02. Always Going My Way

クラップが楽しい!

このクラップがただ曲を聴いているだけでは全く意識してなかった部分だったから新鮮だったし、現地だからこそ『ライブ後でもその情景・(演者さんと自分を含めた)動作を思い出して楽しめる曲』に昇華された感がすごくありました。全身で曲を聴いた。

 

アフタートークの鬼頭さんが言うに、曲中にある「Wow wow wow wow yeah yeah」の歌詞部分の振り付けも本人の考案だそう。

 

03. INNOCENT

2曲を歌い終わりMC。

今回のクローゼットを模したライブセットの話をしたり、この状況下でライブを開催できたことに感謝を表したりと笑顔で話してました。

中でも「久しぶりに"会えた"」っていう発言が心に残っていて。

 

このライブに限らずのことだけど、自分含め観客側が言う『久しぶりに会えた』は(おそらくほとんどの場合)画面の向こうでその方が活躍されている瞬間を幾度も見てきた経験の上でのものであって、それは立場が違う演者さんの言う『久しぶりに会えた』とはニュアンスが違うんじゃないか、と。

 

どっちの『久しぶりに会えた』の方が想いが込められているかの話ではなくて、少なくとも演者側でない自分たちはその違いを汲み取っていたいなという話です。

 

 

 

曲のことを書きます。 

まずこの『INNOCENT』の主題は

 

揺れる想いひとつ 名前をつけてしまえば

昨日までの二人には 戻れない気がしたんだ

 や

 

友達という境界線を引く 二人の間で

 

などの歌詞に表れてるように、「友達である××に『好き』という気持ちを確かに持っているのに、それを伝えること、伝えることで今までの関係が崩れてしまうことを恐れる少女の感情*4です。

 

けれどこれが悲観的なまま終わる曲ではなくて、最後の一節には

 

震える声が 求めてた場所へ 気持ちを乗せて響いてく

もう目を逸らしたりしない 確かにある それを と呼ぼう

 

と変化を恐れることをやめた、希望を持った少女を描写して歌が終わるんですね。

 

この展開を頭に入れつつ鬼頭さんの歌う姿を見ていた時、本当にくるものがあって。

というのも、鬼頭さんの"目"は他の方と比べると冷ややかというか、元々本人がよく「ポーカーフェイスだ」と仰っているように目だけでは中々思っていることを計りにくいような印象があると思います。鬼頭さんのファンが読んでれば分かって欲しいやつ。

 

それは歌っているときも「あ、同じ目だな」と思うくらいには見惚れる冷たさをはらんでいて、だからこそそれが『INNOCENT』のもどかしい・少し陰鬱とした感情を表現するのに合った気がしていた。

 

そんなことを考えながら曲を聴いていたから、まさか最後の「希望を抱く」節を歌い終えた後にこの曲中で一度も見せなかった"笑顔"を見せたことにめちゃめちゃ不意を打たれてしまった。。

その笑顔は陰鬱とした雰囲気の存在なんて今まで無かったような、純粋に"綺麗"っていう言葉を当てはめたいくらいに眩しくて輝いてた。

 

遠くを見るように笑顔で会場をゆっくり見回す姿は本当に綺麗で、元々アルバム「STYLE」の2曲目ということもあって聞き馴染んでいたはずのその曲は鬼頭さん本人のその笑顔でかなり好きな曲になりました。

「あ、この曲今好きになった」って思える瞬間、大事にしたい。

 

 

04. CRAZY ROCK NIGHT

このライブの1つの見所が、そのタイトル「Colorful Closet」にまさに沿ったものである衣装チェンジでした。1つのライブで合計7着もの衣装を着ていた…それはつまり6回も衣装を変えていたということで、歌だけじゃなく見た目でも楽しませようっていう想いが全体を通して伝わってくるものでした。

 

1stシングル「Swinging Heart」・2ndシングル「Desire Again」のMVで登場した衣装も演出として出てきていて、ライブ後のラジオなどで鬼頭さんが言っていた『ライブの醍醐味って歌もそうなんですけど、衣装も大事な要素』って言葉を振り返れば強く実感できたなと。

 

 

で、何が言いたいかというとこの『CRAZY ROCK NIGHT』で着ていた衣装が本当に本当に良くて………。

千秋楽である名古屋公演後のアフタートークで、そこで着ていた衣装がアルバム「STYLE」のジャケットでも使われていた白いドレスに黒色を織り交ぜたものだと判明して「え、本当に…?」ってなった。

 

f:id:Luna_gp:20201016175417j:plain

 

この白ドレスは無料衣装展で見に行けなかったのを悔やむくらいには好きだったから、アレンジされて出てきたのが本当に嬉しかった…。*5

 

『CRAZY ROCK NIGHT』はアルバムの中でもヘビメタ風の異色を放つ曲で、だからこそ生バンドでどんなパフォーマンスになるかと思っていたけどとにかく熱かった。視界に生バンドと赤のペンライトが暴れてる(比喩ではない)景色があったら熱くなるしかなくないですか??

熱量だけ言えば間違いなく一番だったし、左右が空席ということもあって精神的にも物理的にも遠慮する必要がなかったのが良かった点。

 

05. Drawing a Wish

自分の好みと鬼頭さん本人のアーティスト活動への想いという2つの意味でかなり歌詞が好きな曲です。

 

「声優になった頃から、アーティスト活動もできたら楽しいだろうなとは思っていました。でも、ずっとモノマネばかりやってきたので、自分の歌い方を持っていなかったんです。他の誰でもない、自分ならではの表現をするのがアーティストだと思っていたので、自分から仕事関係の方々に、アーティストを活動をやりたいんです、と言ったことは一度もありませんでした

 

ANiUTa【マンスリーアーティスト】鬼頭明里 インタビュー第3回より

 

キャラソンを歌うことがメインだった鬼頭さんがいざ1人のアーティストとして歌うとなった時、「自分自身の声とは何か」「自分自身の色は何か」を模索し続けている(いた)こととリンクする歌詞で、

「Drawing a Wish, Choosing Colors」

というフレーズはそのアーティスト活動に対する1つの答えに取れる気がします。

 

色を1つに決める必要はなくて、その時その時に自分が出せる表情、出せる色を選び描いていく。

 

アルバム「STYLE」の1曲目だけれど、ここまでジャンルが違う4曲を歌い上げたのちにこの『Drawing a Wish』を歌うことは「アーティストとしての鬼頭明里」の意味をより明確にし、「私はこのやり方で歌うんだ、歌えるんだ」という自身の可能性を信じ切った意志決定にも見えました。

 

06. dear my distance

アニメEDだからかもしれないですが、他の曲に比べると鬼頭さんの地声から離れているかな?という印象の曲。

バックの音の厚みがすごくて、生バンドの良さが発揮されてたと思います。

事前にツイッター『自分だけの"青" 描いてゆこう』という歌詞の「青」の部分でペンライトを黄→青に色を替えて!というお願いがあったのも現場ならではだなと思えてしみじみしてました。

ツアー初日ということで綺麗にできていた、とは言いにくかったですが…。千秋楽ではどうだったのか知りたい。

 

07. Star Arc

ダンサーとバックスクリーンの演出が光ってた!

イントロが始まると共にクローゼットの前で2人のダンサーさんが踊り出し、スクリーンの星空を背に力強く歌う鬼頭さん。

 

テンポは早いけど語りかけるような曲調なのがいい。ストリングスももちろんいい…。

どちらかというとノれる曲かな?と思っていたんですが完全に世界に引き込まれて聞き入ってた。

 

08. Closer

ラスサビの激しさが聴いてて楽しい曲。

それ以上に2番の「No.1」「No.2」「No.3」「No.4」をカウントした手を突き上げながら歌う振り付けが印象に残っていて、まあ真似して手を上げますよね。

STYLEの中でもコールを入れたいポイントが多い曲ですが体で全力表現。かっこいいに全フリしたパフォーマンスでした。

 

 

09. 23時の春雷少女

STYLEの目玉曲であり、鬼頭さんが自ら田淵智也さんに作詞・作曲を申し出た思い入れが強いであろう曲。

MVも曲もめちゃめちゃ良かったから案の定ライブでどう披露するのかすごく期待していたし、実際良かったです。ライブで聞こえる音ってどうしても音源より高く、そして平坦に聞こえがちなので、元から全体的にハイトーンなこの曲はどうなるんだろう…と思ってたんですが、それを全く感じさせませんでした。

 

また、この曲は落ちサビに難易度が高い振り付けがあり、STYLEのMVオフショ映像にも苦戦されている姿が映ってました。その振り付けを完璧に踊りきった鬼頭さんかっこ良かった…めっちゃ拍手した……

MV撮影した当日には完全に忘れたらしかったのでもう一度覚え直したらしいw(アフタートーク談)

 

 

10. アタシ♡カワイイ♡宣言!!! (『私に天使が舞い降りた!』姫坂乃愛キャラソン)

???衣装が可愛すぎる………

 

わたてん見ようとは思ってた。今年中に見ようとは思ってたんだ………

世界一カワイイ。ライブ終わってから聴きまくった。

 

 

11. カーストルーム (ZAQカバー曲)

歌う直前のMC、「次はZAQさんの――」っていう鬼頭さんの声がずっと頭に響いてる。

 

ようこそ実力至上主義の教室へ』、アニメの放送時期は2017年の7~9月だったんですがなぜかリアタイで見てました。

けれどそれも本格的にアニメを見始めたかどうかくらいの時期だったので、堀北鈴音役が鬼頭さんだったなんて知らなかったんですよね…。(実際に知ったのは東京公演1週間前とか)

 

まずカバーを歌うなんて全く思っていなかった(ポニキャのアーティストはカバーが多いらしい?)し、更にそれが知ってる曲だったということもあって二重に驚きました。鬼頭さんの出演作の広さを改めて思い知らされた曲。

 

 

12. Desire Again

ライブとは全く関係ないですがMVの撮影地を回りました!

曲のイメージがダークロックなためMVの時間帯は夜でしたが早朝に撮影。

 

f:id:Luna_gp:20201016202108j:plain

 

f:id:Luna_gp:20201016202147p:plain

1番ABメロに登場、東京都庁向かいの階段。

 

f:id:Luna_gp:20201016202434p:plain

帝王プラザホテル正面の道路。

 

f:id:Luna_gp:20201016203113j:plain

MV後半に登場する遠景。


カーストルーム』の熱が冷めないうちに『Desire Again』のイントロが流れて熱かったのは言うまでもなくですが、印象的だったのがMVと同じように歌詞がバックスクリーンに写し出されていた点で。その演出自体はよくあるかなと思うけれどやはりMVを生で見ている感覚を抱いたのは間違いありませんでした。

個人的にアーティストとしての鬼頭さんの歌う曲で初めて聴いたのがこの『Desire Again』だったので結構強い思い入れがあって、歌詞も

「私が私でいる証を ギュッと握りしめていたいんだ」

「乗り越えたその先には 思い出に変わってく」

というフレーズのストレートさがかなり好きなので、目の前でMVの再演を見た気分に浸れて良かったです。

 

自分だけの証、見つけたいね…。

 

 

13. Dive to World


鬼頭明里「Dive to World」試聴ver.(3rdシングル「キミのとなりで」c/w)

 

安達としまむら」EDである『キミのとなりで』のカップリング曲。

『キミのとなりで』は本当に大好きなのでとてもとても聴きたかったんだけどこっちが来たか!という感じ。作詞・作曲・編曲全てを受け持ったのSakuさんで、同じく『Tiny Light』も完全監修してます。鬼頭さんの歌い方や声を考えた上でも歌詞が頭に入ってきやすい…。

 

歌詞を見て曲聴いた上では良い意味で「Dive to World」っていう題名そのままだな、という印象なので早くフルで聴きたい。Sakuさんだから、という謎の期待がある。

 

 

14. Tiny Light

1番、2番と歌い上げた後の「まだ この胸の中 生きづいたまま」から始まるCメロの導入。

 

実はアルバム「STYLE」付属のBDには2ndシングル「Desire Again」のリリースイベントを殆どそのまま記録した映像が収録されていて、そこにはもちろんこの『Tiny Light』を鬼頭さんが披露する場面があった。

ただ、そのBDで切り取られていた歌唱シーンに映る鬼頭さんはこの「まだ」から始まるCメロのタイミングを全て外していた。

あくまで「切り取られていたリリイベの歌唱シーン」だけ外していたから、もしかしたら他の公演では正しく当てていたのかもしれない。けれど、明らかに「このタイミングじゃない」と即座に分かってしまう、言い換えれば観客の前で言い逃れできないミスをした鬼頭さんの姿がそこには映し出されていた。

 

歌う側からすればこの部分はストリングスしか頼りにできる音楽が存在せず、視点を変えれば自分たち観客からすると耳に入ってくるのは「鬼頭さんの声」と「ストリングスの音」しかない。だからこそ、この導入を外してしまう、完璧でない自分を観客側にさらけ出してしまうというのは本人が一番自責の念に駆られてると感じた。

 

また、付属ディスクにはこの導入部分を幾度も練習しているいわゆる舞台裏のシーンも含まれていて。

自分の声とリズムが食い違い、「また間違えた」と一瞬険しい表情を見せながらも歌い続ける姿はどうしてもくるものがあったし、目を伏せたくなるほど見ていて辛かった。

 

その時間、その場にいなかった自分は「こういうことがあった」と事実を受け止めるしかないし、そこにいたオタクの感情と強く頭に残ったシーンだったから、いざライブで2番のサビが終わり、Cメロに入るまでの数秒間にそれが全くそのままフラッシュバックし一気に不安が押し寄せてきていた。

 

画面を通した姿ですら見ていて辛かったのに、今この場で再び失敗したら?

また失敗した自分を責めるような顔なんて見たくなかったし、完全に自分のエゴだと分かっていても目線の先にいる"本人"とその空気を共有したくないと思った。

 

 

けれど

 

 

 

 

 

 

成功した。

例のリリイベに比べたら圧倒的に「合っていた」。

鬼頭さんの集中した表情は全く変わらない、冷ややかさの中に熱さを灯した目をしていたけれど、少なくとも自分の中ではただ「タイミングが合っていた」という事実が心の底から嬉しかった。

 

特に推しと公言しているわけでもない、公言したとしても長く追っている人に比べたら歴も浅いだろうし、(追う上で自分が満足できる最低限の)知識もあるかどうかわからない。けれど間違いなくその瞬間は1人の"アーティスト"が残した結果に胸がいっぱいになってしまった

 

本人の考え方が好きだと分かった時以外、そんな時以外に「好き」が「推し」に変わる瞬間って何?と聴かれたら「こんな事があった瞬間」と答えられるのもいいなって思えました。

 

15. 君の花を祈ろう

アンコール1曲目。

自分は行ってないんですが、千秋楽公演でボードに手書きのメッセージを書いて、この曲のCメロで一斉に掲げるサプライズが本当に良すぎた…。

ライブ中は少なくとも自分たちは「受け取る側」で、基本的に演者→観客側への一方通行になってると感じることもある(今回は声を出せないから尚更)ので私たち自身がライブ中に演者さんへメッセージを伝えられるっていうのはすごく良いなって感じました。

 

自分個人としてもそういう想いを伝える場が主に企画しかない(立ててくれる方本当にありがとうございます)から、書きたかったなぁと思ったけど……せいぜい頑張っても「あかりんかわいい」「あかりんありがとう」しか書けないのでは…?(さすがにウソ)

『想いはその量よりも伝えることに意義がある』ってまさにこれだった。

 

 

16. Fly-High-Five!

アンコール2曲目にして、「Colorful Closet」東京公演最後の曲。

アフタートークで、プロデューサーの椿山さんがセトリを考える際「最後はドカンと楽しんで帰って欲しかった」という理由でこの曲を最後に持ってきたと言ってました。

 

振り付けもマネしやすいように作られてたりと一体感もあって、特に曲終わりのかき鳴らしからの「飛ぶよー!」も全てを弾けだせたなと。

 

また、ライブパンフレットの各曲に対するコメントで鬼頭さんは『この曲はみんなの声援があって初めて"完成"する』と言葉にしていて。

この言葉の通りに自分たちが声援を送ることは叶わなかった。

鬼頭さんのいう"完成"には届かなかったけど、そういった振り付けやジャンプ、何よりここまで曲を披露してくれた鬼頭さんとそれに自分たちファンが答えることで、この曲は今成し遂げられる最高の"未完"になったと思えた。

 

それはこの状況を抜け出した先に訪れるかもしれない本当の"完成"への期待でもあるし、Colorful Closetというライブ自体は今この時作れる、という意味では紛れもなく"完成"だった。

 

 

最後に:Closetに詰め込まれていたのは――

他にもライブ前夜に何百枚であろうブロマイドにサインを書いていた話、ライブ終演後にいわゆる「お見送り」があった話など色々書けることはあるんですが長くなったのでここまでにします。

 

ひとつ思ったのが、「予想以上にファンとして鬼頭さんのことをしっかり見ていた」のかもしれないということ。

確かにもちろん虹ヶ咲のキャストだからという理由でインタビューを読んだりラジオを積極的に聴いたりはしていたけれど、このライブの『Drawing a Wish』や『Tiny Light』で感じた想いは明らかにそういう積み重ねが無ければ生じることは無かったと思います。

 

自分は『何が「推し」になる要素なのかな』とずっと考えていて、その1つの答えとして本人の仕事に対する考え方こそが自分の中の"推せる"という感情を作るもので、何よりそれを軸に推し事してたいと常日頃思ってました。

それを知るためにインタビューを読み、ラジオを聴いて「突発的・衝動的な"推し"に変わる瞬間」を求めてたというのは間違いなくあって。

 

けれど、このライブであったことを思い返すと「時間をかけること」だって強烈な「推し」化への要素になると強く思えました。冷静に考えたらかけた時間が「好き」に変わるって当たり前な気がするけど、少なくともそういう風に思考を変えられたのは嘘じゃなかった。

 

多分これからも自分の考え方は思いのほか柔軟に変わっていくと思います。

そういう瞬間を求めながら誰かを追い続けて、答えを出せる時をゆっくり待つのも、そんな選択をして後悔はしないなと。

 

そう思えた素敵なライブでした。こんな状況でも現地開催に踏み切ってくれたこと、鬼頭さん本人の姿と想いを直接届けられる場を用意して頂いたことに感謝します!

*1:千秋楽でライブBDの発売が発表されました。何ならこれを書き始めた時は出ないと思ってた…。

*2:会場入りしてから聞こえてきた会話で、「配られたフェイスシールドを着用しないと外のトイレに行くことができない」というのがあってそういう意味も含めて万全だと思いました。

*3:1年くらい前に行ったライブでコルセット風スカートを初めて見て、綺麗すぎて華やかで一瞬で堕ちた。

*4:女性アーティストが歌っているということで少女と仮定してます。

*5:もちろんスタイリッシュな本家のほうも別曲で着ていました